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2005年9月26日 (月)

憲法と戦争 C・ダグラス・スミス

[新ガイドライン]
古今東西の世界史上で唯一、交戦権を持たない軍隊。それが日本国自衛隊であり、
これまでの解釈改憲(個人的には賛成)と根本的に異なり、1999年5月の新ガイドライン関連法の成立により、憲法9条の無力化が完成したことが指摘されます。

PKO協力法などでは、自衛官が武器の使用する根拠として「正当防衛」と「緊急非難」が明記されていますが、これらは派遣先で活動する自衛隊員に限らず、我々一般市民にも適用される日本国の刑法(第36条、第37条)が適用されているのです。
戦場、または敵国の民間施設を空爆する米軍の後方支援部隊として自衛隊は派遣され、補給活動等に従事するわけですが、後方支援活動だから「戦争当事国ではない」とする詭弁は通用せず、当然、相手国の攻撃対象となります。その際に刑法の遵守が云々、なんて言う暇はなく、結局は部隊行動として、相手国と交戦するハメに陥ります。すなわち、事実上の交戦権の保持となります。
現状でも、上記のような体制に変遷するわけですから、憲法は改正するべきではありませんネ。

[君が代教育]
在日35年になる外国人の目から、君が代教育についての率直な意見が述べられます。曰く、それは自発的な愛国心を生み出すのではなく、若者の潜在意識に恐怖心と服従心を植え付ける、と。私見では、従属心と読み替えた方がよいのかもしれません。

共産主義体制下のチェコスロバキアの例。八百屋の棚先には、野菜と一緒に「万国の労働者よ、団結せよ!」と書かれたプレートが並べられます。それは店主の思想ではなく、政府の指示に従順な、無害な人間であることを示すためなのです。すなわち戦前の天皇礼賛、毛沢東崇拝、金正日体制ほど極端ではなくとも、民衆のお上への従属心を示すシンボルなのです。そしてまた、歌詞の意味を深く考えることなく「"君が代"を唱える」ことも、それと同じであることが明らかにされます。

民主主義国家といえど、政府の意向に逆らっては生きていけない。このことを行間から読みとったとき、あの9.11直後のアメリカ合衆国の行動を思い出しました。少しでも「当局への従順さ」を欠いただけで強制連行されたムスリム住民たちの姿です。まるでセルビア占領下のボスニアの街を見ているようでした。
自分の思想とまったく異なる行動を強制され、とまどいながらも「周りのみんながしているから」と自意識に言い聞かせ、しかたないなぁ、と言われた通りにする。これが典型的な日本人の社会であり、コンセンサスであるのですね。
深く根付いた村八分社会。裏を返せば、その集団的恐怖には誰も逆らえない。

思えば「意味を考えずに、ただ指示された通りに成す」教育こそが、現在問題とされている一部の若者、すなわち深く考えない、自分のヤリたいことしかヤラない、強い意志の感じられない甘えた男女を生み出しているのではないか? そんな思いに至った夜更けでした。

憲法と戦争
著者:C・ダグラス・スミス、晶文社・2000年8月発行
2005年9月24日読了

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