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2005年9月 1日 (木)

ガザから撤退したけれど……

信じられないことに、イスラエル国内で壁の建設が進められている。
国内のパレスチナ人居住区である西ヨルダン川地域を隔離するために。
「すでに隔離の完了したガザ地区ではテロが減った。だから効果的」なのだそうだ。
テロ対策?
計画的な国家テロを平然と行う集団が、テロ対策ですか?

高さ8メートルにおよぶコンクリート壁(の映像)を見て、ベルリンの壁(直接見た。一九九九年の壁は、ただの残骸だったけれど)を思い出した。
市民社会を分断したベルリンの壁は、もちろん非人道的だ。だがこの場合は、東ドイツ政府対西ドイツ政府、すなわち東のソビエト連邦対西のアメリカ合衆国の構図があったわけで、分断された市民には、それぞれの政府と陣営の後ろ盾があった。

こっちの壁はより深刻だ。イスラエル対パレスチナ。かたやアメリカ合衆国(の軍産複合体)を後ろ盾にやりたい放題。かたや後ろ盾は無し。国際社会は無関心ではないにせよ、アメリカの動向を気にして知らぬふりを決め込む。イスラム同盟といえども、米国の経済的・軍事的制裁は怖い。

パレスチナ住民の社会生活が破壊されることを何ら考慮せず、ユダヤ系イスラエル人の都合だけで一方的に壁は建設される。
先祖伝来の土地を追われ、一方的に決められた居住区へ強制的に収容される。国内移動には通行証(パスポート)が必要ときた。
これをアパルトヘイトと言わずして、なんと呼ぶのか?

パレスチナ人の土地は没収され、次々にユダヤ人入植地がつくられる。そこの入植者はこう言い放つ。「ここは神が与え給うたわれわれの土地だ。ここをテロリストの攻撃から守る必要がある」

テロ対策を名目にパトロールを行うは、ハイテク兵器を駆使するイスラエル国防軍。第三世代の重戦車や戦闘ヘリコプターで、イスラム教徒居住地区を縦横無尽に駆け巡る。
パレスチナ系イスラエル人に残された手段は、自爆攻撃のみ。
パレスチナ警察ですら、反イスラエルの牙城となる。

むかし、チベット問題を取り上げた神戸のビデオ上映会に参加した。そこで、こんなことを言った女性がいた。
「国連にまかせれば大丈夫よ」
嘲笑をこらえるのが大変だった。侵略者中共はP5、安保理常任理事国ですよ!
たとえパレスチナ問題が国連安保理で取り上げられても、米国の拒否権によって潰え、日の目を見ることはない。
ならば国連"総会"が非難声明を発表しても、聞き流せば済む。強制力の伴わない声なんて、力ではないから。
非正義を告発できない国際社会って、いったい何なんだろう?

彼らユダヤ人は、かつて世界中から差別の対象とされ、20世紀中葉にはナチスドイツによる大量殺人を経験した。
彼らにとって、原住民から奪い取ったパレスチナの地は「約束の地」なのであろう。
彼らにとって「非ユダヤ人は非国民」なのであろう。

非国民のパレスチナ人に、人権はないのだろうか。
アンネ・フランクの日記は答えてはくれない。

かつての被害者は加害者に変貌した。
かつて涙した名著、エリ・ヴィーゼルの「夜」は、永遠に明けない夜なのか?

「シンドラーのリスト」が、歴史の彼方にかすんで消えてゆく……。

(2003年11月25日のなぐり書きを元にしました。)

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