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2006年6月 4日 (日)

第三次インド・パキスタン戦争

1947年、長く過酷な植民地支配から抜け出した英領インド。しかしマハトマ・ガンジーの理想を追い求める努力は実を結ばず、非宗教国家インドと、ムスリム国家パキスタンとに分離しての独立となった。そのパキスタンは、インドを挟んでの東パキスタンはベンガル人、イランに近い西パキスタンはパンジャブ人を中心としており、その風習、風土、主食は異なり、イスラム教以外の結びつきは皆無であった。
やがて東パは西パに支配される構図となり、かつての連合王国内における独立前のアイルランドのように、自国内植民地の立場に追い込まれていった。必然的に敵意は高まり、軍事政権による弾圧が火に油を注ぐことになった。

本書は、1970年代初頭にインドに駐在したNHK特派員の筆によるもので、ダッカ大虐殺の現場記録、東パキスタン独立運動、インドの介入とパキンタンとの戦争、そしてバングラデシュの独立までが克明に写し出されています。同時にソ連邦、米国、中国の動きと、国連の無力さが浮き彫りにされます。
米国の中国への接近によって転機を迎えた東西情勢と、この戦争へ及ぼした影響が明確に描かれており、興味深く読むことができました。

それにしても厳しいのは、貧困国家パキスタンイスラム共和国から独立した「最貧」国家バングラデシュ人民共和国の現実です。その国民一人あたりGDPは、1998年でなんと350ドルでしかなく、33000ドルの日本から見ると、まるで別の惑星の住民であるかのごとく感じてしまいます。
豊かな生活を楽しむことが当たり前になってしまった現代人は、ときおりテレビで伝えられる「第三世界のかわいそうな」状況に心を痛めることで、贖罪感から無意識に逃れている。もちろん、僕を含めて。そんなことを再発見した、日曜のうららかな午後でした。

第三次インド・パキスタン戦争 バングラデシュの独立
著者:高橋貞雄、日本放送出版協会・1973年9月発行
2006年6月4日読了

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