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2006年8月15日 (火)

いま、抗暴のときに

イラク戦争の突入前後に記述された"エッセイ"と言うには重すぎる著述集。
「体制や権力といったものに表面的な批判を並べ立ててはいるものの、その実、大樹にすり寄って恥を知らない去勢されたジャーナリストの群れ」とは一線を画す、強靱な「独立した個人」の強い意志が、吠えるでもなく叫ぶでもなく、太いベクトルを持って記述されます。

"おぼっちゃま"な作者の"ゴーマン漫画"では、辺見氏は"左翼"の代表として悪く書きたてられていますね。社会に対峙する個人としての力量の点で優越を競うなら、氏に軍配が上がる事は言うまでもありません。

すでに「戦後民主主義」なる概念は形骸化したこと。権力と一体化したメディアと、メディア化した権力が手を携え、かつての階級闘争理念を超越し、「情報消費者」と化した何も考えずに流されるだけの国民を巧みに誘導し、「柔らかな全体主義」への移行が成功したことが明らかにされます。

また、いま最も注目されている安倍官房長官のことば「核武装は憲法違反ではない」にも及び、表面的なイメージで物事を判断することの危険性と、拉致被害者家族の心痛を余所に政治利用した結果としての、日本の右傾化が加速した事実が指摘されます。

いま、抗暴のときに
著者:辺見庸、毎日新聞社・2003年5月発行
2006年8月14日読了

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