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2006年8月17日 (木)

二百十日

明治の青年二人、阿蘇山への旅物語。帝国大学を卒業して三年後の漱石は、明治二十九年から旧制第五高等学校(熊本大学ですね)の教授を勤めます。ロンドン留学直前ですね。その頃の旅が本作品のベースとなったのでしょう。

豆腐屋の息子、圭さんは主義主張こそ生きる意味である、といわんばかりの人生を歩む人です。
「田舎者の精神に文明の教育を施すと立派な人物ができる」
「綺麗な顔をして下卑たことばかりやっている。金がない奴だと自分だけで済むのだが、身分がよいと困る。下卑た根性を社会全体に蔓延させるから、大変な害毒だ」

常時、華族と金持ちに対する不平と不満、革命の意義を口にする圭さんですが、周り(この場合は碌さん)に迷惑を掛けていることに気付かない点では、批判対象と良い勝負です。一方、碌さんは学士なのでしょうか、クールな言動と抑制のきいた行動が圭さんと対照的です。まぁ、結局は図太い性格の圭さんに振り回されて終わりますが。

短編ゆえに、見せ場は悪天候の中での登山と、火山灰まみれになっての救出劇だけとなっています。「半熟たまご」のくだりは、これって明治時代のギャクなんでしょうね。

ロンドン留学時の夏目漱石は、本籍族欄に「平民」と明記します。周りは華族・士族が多いのに。そのことが作品に遠い影響を与えたのかなぁ。

漱石全集第三巻 二百十日
著者:夏目金之助、岩波書店・1994年2月発行
2006年8月16日読了

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