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2009年12月30日 (水)

「知の衰退」からいかに脱出するか?

長らく世界第二位のGDPを誇り、世界の大国を意識してきた日本。しかし2010年、ついにGDPが中国に追い抜かれ、世界第三位に転落することが確実となった。この先、産業競争力も低下してインドの後背を観ることとなり、人口も減少して活力を失い、没落するのは目に見えてくるようになった。
決して死滅しないが、緩やかに衰退し、世界から見捨てられ、どうでも良い存在に成り下がる。これを著者は「ポルトガル現象」と呼ぶ。国民に危機感がないとどのような状態に陥るか、そのわずかな例が示されているが、恐ろしいことだ。(434頁)

知の衰退が起こっている。
自分で考えることをしない人々が増え、TVなどマスコミを通じて喧伝されるエモーショナルな意見を鵜呑みにし、これを世論であると錯覚する。深く考えずに意見だけは持つこととなり、これが政治までも左右する。自民党の大勝した郵政民営化選挙や、年金問題に翻弄された参議院選挙が、その典型だ。

記憶力を中心とした偏差値教育の弊害は古くから言われているが、著者は「何より大事なこと」として、"自分で考える力"、"考えたことを実行する勇気"、"結果が出るまで続ける執念"の3点を挙げる(258頁)。これってまさに、仕事を成功させるために、そして自己実現のために必要なこととして当てはまるなぁ。

英語を外国語ととらえることが間違いだと著者は説く。それは標準語であり、これをマスターしないことにはビジネスも政治も学問も外交もできない、と。そのためドイツ、韓国、中国では猛烈な英語教育が行われている。小学1年から教えるのはもちろん、一流大学の授業は英語で行われ、入社資格がTOEIC900点以上ときた。2015年には中国の英語人口は米国を凌駕するそうだ。(295頁)

最終章では、「教養」の定義が変化したことが明らかにされる。これは大変なことだ。
昔ながらの哲学、古典文学、クラシック音楽等が顧みられなくなったことは、実は日本国内に限ったことではなく、世界共通の傾向であると指摘される。
で、21世紀の教養は何か? 著者によると、最近、欧州はじめ世界の指導者との会話で二つのテーマがクローズアップされているとのことだ。
ひとつは社会貢献。たとえば、アフリカ・アジアの貧しい人々のために"自分が"何をしたか。もうひとつは地球環境問題への関与。知っているだけでなく、自分がどう貢献しているか、が問題となる。
つまり、哲学やギリシア神話の知識は重要ではない、ということ。

「現在求められている『21世紀の教養』は、サイバー社会も含めた最新の情報に基づいた"考える力"であり、それによって地球市民としてどのように社会に関わっていくかという意識である。そして、そこから導き出されるアイデアこそ、今後の力の源泉である。またそれが世界の中でリーダーシップを発揮できる源泉でもある」(431頁)

つまり「地球市民」としての社会と環境への関わりが問われる時代になったと言うことか。
くだらないテレビやどうでも良い記事ばかりの新聞に頼らず、ネットをこまめに活用して世界が関心を寄せる共通の問題を把握し、自分の見解を持つことが肝要、と。
よし、チャレンジしよう。

Decline of Collective Intelligence
「知の衰退」からいかに脱出するか?
そうだ! 僕はユニークな生き方をしよう!!
著者:大前研一、光文社・2009年1月発行
2009年11月21日読了

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