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2010年10月26日 (火)

技術からみた人類の歴史 山田慶兒

旧石器時代から農業革命期を経て、産業革命、情報革命へと至る技術の発展と科学との関係を追い、これからの科学技術の向かうべき方向を示す。

・旧石器時代から順を追い、狩猟道具、農耕機具、天文学、水車、時計、文字等の発明と伝播の様子が述べられる。面白いのは、基礎的な道具(火の使用! 等)は異なる文明でもほぼ同時多発的に発明されたが、一方では特定地域では発明されなかったモノ(安全ピン、車・ろくろ)もあり、歴史的事実として興味深い。

・道具を作って使う動物は他にも存在する。人類を特徴づけているのは「道具を作る道具」を作る行為にある。

・17世紀に科学と技術の融合が起こったヨーロッパでのみ、技術の壁が突破(ブレークスルー)され、それまで技術レベルで拮抗していた中国や中東との格差が開いてゆく。以降、指数関数的に発明・発見が行われる様は興味深い。

・金属加工分野における刃からレーザーへの変遷、情報記録の紙から電子媒体への変化に示されるように、現在、新石器時代からの技術の継承が途絶える傾向にあり、これが産業革命の帰結である。

著者は技術について「作る行為、方法、作られたモノ」と定義する。その上で、論理的思考に終始した中世スコラ学だけでなく、現代社会の「まず科学ありき。技術はその応用である」との方法論や、哲学・思想を欠いた技術を否定する。専門職と手工業職との調和が重要であり、そこには「精神文化と融合し、作る行為に含まれる創造、理解と認識、作る行為そのものの喜び、芸術的表現などの要素こそ、技術の本質」との思想が根本にある

従来の科学は現実の事象を単純化モデルに変節し、部分を究明することを繰り返してきた。その方法論によって巨大科学=宇宙の姿の解明や素粒子とその先の"何か"の究明が限界に達しつつある現在、生息環境に代表される"身近な物事"へ視線を転換し、これらを解明することとこそ、新たなブレークスルー=人類の発展につながると説く。

[補記]
本書は"編集グループSURE"の直接販売のみのようですが、僕は神戸・元町の海文堂書店(1914年創業!)で購入しました。
http://www.groupsure.net/
http://www.kaibundo.co.jp/

技術からみた人類の歴史
著者:山田慶兒、編集グループSURE・2010年10月発行
2010年10月25日読了

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