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2011年3月 6日 (日)

日本人のアジア認識

幕末から明治にかけて急激・どん欲に西洋文明の摂取を目指した日本。本書は、その事実がもたらした清国と「支那」に対する日本人の意識の変化を概観し、今日まで続く影響を考察する。

・日本の国民性を形成してきたのは中国の存在を前提にしたものであり、その自意識は大陸中国への恐れの感覚と密接に結びついている。

・古代から日本人の中国への憧れ、鎖国中も長崎を通して入手した明・清の書物から形成してきた「畏敬なる孔孟の地、聖人の国」との中国イメージが、幕末・明治初期に現実の中国の姿を知るにつれ、明治中頃には「上流士人を除き、中国は蛮人の国である」との共通認識へと変わる。
清国から中華民国への移行時、科挙に代わる立身出世の手段として日本留学が囃され、エリートが大挙して来日する。皮肉にも上記の中国人蔑視の環境に晒され、「反日思想」を抱いて帰国したという。……現在も似たような話を聞くなぁ。

・日露戦争の勝利が実力以上の慢心を日本国民に抱かせ、これが近隣諸国との連携を妨げ、自身に災いを招くことになる。

占領地に神道の神社を建設し、現地住民への天皇遙拝を強制したとの記述がある。(74頁) この「日本精神を強要」した支配システムこそ、現地文化を尊重した大英帝国と大きく異なるところであり、強硬な反日運動を引き起こした一因であろう。

本書は全体的に中共よりの記述となっているようで、日本の過去を否定するような印象がある。例えば最終章"歴史の重荷と二十一世紀の可能性の模索"では靖国神社参拝を取り上げ、「日本人独自の方法で歴史を追憶したいという考え方」が根強く存在していることに触れ、"近隣諸国に日本が及ぼした"禍害"を閑却することは許されない"、とある。(75頁) 前者は日本人として当然の考え方であり、批判の対象にはならない。後者は周辺諸国からみれば当然の記憶だが、これが前者を否定することにはつながらないのではないか。著者は"中華視点"の立場ではないか、と疑ってしまう。

あまり良い読後感は得られなかったなぁ。

世界史リブレット66
日本人のアジア認識
著者:並木頼寿、山川出版社・2008年3月発行
2011年3月6日読了

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