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2011年6月16日 (木)

世界の変化を知らない日本人 日高義樹

著者の潤沢な人脈を駆使して集約され、分析され、タイムリーに開陳される情報が満載の本書、その第二章「アメリカ軍はなぜ全力をあげて日本を助けたか」と第三章「中国はアジア覇権確立に大震災を利用する」の内容は圧巻だ。

トモダチ作戦。空母ロナルド・レーガンを中心に多数のアメリカ海軍の艦艇が東北沖に集結し、史上最大規模の災害救援活動が実施された。孤立した村落に救援物資を搬送し、老人と抱擁して立ち去ったヘリパイロットの勇姿は鮮烈な印象を残した。

で、横須賀を母港に西太平洋にプレゼンスを誇示してきた航空母艦、ジョージ・ワシントンと機動部隊は、どこで何をしていたのか? マスコミでは長崎沖で訓練中、とのみ報道されていたが。

"親中"民主党政権の報道管制により、われわれに知らされないことは多々あるのだろう。
その一つが、大震災後の米軍の動きと、"国民の目に触れさせまい"とする政府の姿勢だ。

実に10万人もの自衛官が動員され、40隻もの海上自衛隊艦艇が災害救助に運用された。必然、国境は手薄になる。力の空白は、別の力が埋めるのが道理だ。

著者によると、第七艦隊の"長崎沖での行動"は表向き訓練、その実態は実戦配備であり、尖閣諸島周辺で中国軍を牽制していたそうな。
アメリカ軍・太平洋軍司令官(大将)は横田に臨時前線司令部を設置して着任し、第七艦隊司令官(中将)も旗艦ブルーリッジに乗艦してグアムから日本にやってきた。無人偵察機グローバルホークも横田から飛び立ち、中国軍の動きを探査していたという。

表向きの報道とは別に、米軍では実に臨戦態勢が取られていたという。

仙台空港の復旧は海兵隊員が投入された。その数、実に1,000人! 機能不全に陥った管制塔の設備は、米軍提供の無線設備で代替された。仙台空港の早期復旧が実現したことにより、東北への物資の搬送がより増加できた。
日本政府は、海兵隊のマスコミへの露出を制限するだけでなく、復旧後には追い出すように撤収させたという。
これらのことは、日本のマスコミで報じられたのだろうか?

北朝鮮と個人的な繋がりのある国会議員を多数抱え、中国よりの姿勢を隠そうともしない民主党政権。"日本びいきではない"オバマ大統領の政策と相まって、不安定な日米中の関係が続いてきたが、大震災を機に変わる可能性を著者は示唆する。次回の大統領選に確実に影響を及ぼすであろう"ティーパティー"の躍進もあり、共和党政権が返り咲けば、米中対立が一挙に表面化し、日本の立場もハッキリすることになるな。
もうしばらくの辛抱か。

How the Japanese are Mere Spectators to Global Change
世界の変化を知らない日本人 アメリカは日本をどう見ているのか
著者:日高義樹、徳間書店・2011年5月発行
2011年6月16日読了

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