« アフリカ 資本主義最後のフロンティア | トップページ | NOTAM 神戸海岸ビルヂングにあるエアライン雑貨のお店 »

2011年7月17日 (日)

帝国と国民 山内昌之

日本では戦後長く、帝国の概念、あるいは言葉そのものがタブーとされてきた。社会主義体制の崩壊に伴う小国家群があいつぎ独立し、1990年代のグローバリゼーションが進むと、従来の国民国家の枠内でとらえることのできない問題群が発生した。その解決を模索するに当たり、帝国の幅広い解釈が論じられるようになった。

本書は、オスマン・トルコ帝国とロシア帝国の崩壊から、アラブ世界の理想と現実、アメリカを盟主とする現代帝国主義世界を視野に、歴史、開発主義、民族主義、文化・文明論、ナショナリズムまで幅広く網羅している。

民族自決の理念が優先された結果、アジア・アフリカ諸国においてみられるように、国家の統治に支障を来す事態が生じている。
いまさら帝国主義の理念を蒸し返すわけにはいかないから、国家連合・地域連合の有用性は高まる一方だし、事実、EU、ASEAN、コモンウェルス(旧英連邦)によるメリットは大きい。
・東ティモールなんて、独立下は良いが産業もなく、どうするのだろう?
・アジアは中国がおおきすぎて難しいだろう。支那が分裂すればバランスが取れてより良い世界に近づくのだろうが。)

帝国を顧みる現代的な意味は二つ。(p378)
・国家のゆるやかな結合体ないしは地域協力のシステムを模索する上で、<帝国>の経験と試行錯誤をふりかえること。
・グローバリゼーションの現代を歴史の過去と比較する上で有用な手がかりとなること。

自己中心主義・自己膨張主義は帝国の性格として避けられないが、中央集権化とフランス同化に偏向したフランス・アフリカ帝国よりは、地域自治の割合の高かった大英帝国のほうが、現代帝国主義世界の運営、将来の展望に有用であるように思える。

帝国と国民
著者:山内昌之、岩波書店・2004年3月発行
2011年7月16日読了

« アフリカ 資本主義最後のフロンティア | トップページ | NOTAM 神戸海岸ビルヂングにあるエアライン雑貨のお店 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/134563/52233234

この記事へのトラックバック一覧です: 帝国と国民 山内昌之:

« アフリカ 資本主義最後のフロンティア | トップページ | NOTAM 神戸海岸ビルヂングにあるエアライン雑貨のお店 »

フォト

他のアカウント

おすすめ本

見て下さいね!

  • BMW Japan
    愛車の2001年式E46 320i Mスポーツは快調ですが、E90 3シリーズクーペも魅力的です! 335i、誰か買ってくれないかな~~
  • United Nations Peacekeeping
    現代のアメリカ帝国の一方的かつ傲慢な「強者の論理」がまかり通る世の中ですが、国連経済社会理事会はまだまだ機能しています。そしてPKOの理念もまた!
  • 『ル・モンド・ディプロマティーク』日本語・電子版
    日本に存在しないものの一つが「クオリティ・ペーパー」だ。この大陸欧州(コンチネンタル)の知性が、日本語で堪能できるのです! インターネッット様々ですね。
  • BBC NEWS | News Front Page
    英連邦の残滓は資産でもあります。日本のメディアにほとんど現れることのないアフリカ、南アジアの記事が豊富です。
無料ブログはココログ