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2012年3月18日 (日)

この国を出よ 大前研一、柳井正

明るい未来は見えず、閉塞感でいっぱいの日本。いっそのこと、一度財政破綻し、IMF管理の下でやり直せばいい。そんな思いも生じがちな惨憺たる現状に対し、それでも解決策を探る二人の対談には、矜持を正す思いを抱いた。

そうだ、他人任せではいけない。社会を良くすることへの志と、貪欲さを失ってはならない。
・自分が主役となり、やりたいことを力一杯やらなければ、人生の幕を閉じるときに後悔することになる。(p15)
・理念なき"金儲け"ではなく「稼ぐ」ことに企業の存在意義がある。人の役に立つモノやサービスを提供し、その代金を受け取り、そして納税するという「社会貢献」を行うこと。これが「稼ぐ」ことの意味だ。(p72)
・知識労働者とは何か。組織の中で成果を上げ、社会的な成功を掴める者のことだ。志を高く持ち、常に勉強や創意工夫に勤めること、自分自身で課題を発見し、その解決に向けて行動することが求められる。(p121)
・知識の価値の相対的低下に対し「深い洞察から答えを導き出すスキル」の価値は、間違いなく上昇している。「稼ぐ力」「世界で生きていける力」の研磨を怠ってはならない。(p114)
まさに僕自身の実存意義を問われた感がある。気を引き締めて仕事に取り組もう。

一方で、"事態"への備えも怠ってはならないことが示される。
・国際競争力が衰退し、経済敗戦を迎えた日本。イギリス病ならぬ"日本病"の症状は重く、将来の生活水準の著しい低下は避けられない。誰もが考えたくない悲しい未来が見えてくるが、正視しなければならない。(p38)
・日本がデフォルトする可能性の現実味。ハイパーインフレと預金封鎖。間違っても政府をあてにしたり、頼りにしてはいけない。(p41)

レベルの高い、長期にわたる国家的ヴィジョンを含めた議論を展開するイギリス議会の例が紹介される(p76)。
・2010年より連立政権を主導するキャメロン首相とクレッグ副首相は、政権発足時、実に43歳か!
・優れた決断力とリーダーシップ、そしてブレない演説と政策実行力は、イギリスの教育の伝統によるもの。
翻ってハチャメチャな日本の政権を思うと、その絶望的な乖離からは悲しみすら覚える。

心強いことに、ブロークン・イングリッシュについての言及もある。相手に何を伝えるか、どんな結果を出したいのか。流暢に話せなくとも、リーダーシップを取り、結果を出すことが重要。(p158)
・サムスン電子の入社条件のひとつが、TOEIC 900点以上か……。
・僕自身の英語力は悲しいレベルだ。インドでは、流暢に会話するアメリカ人旅行客とホテルスタッフの姿を横目に"英単語を並べてゆっくりと話す"コミュニケーションを図った。ロンドンのホテルでも、マネージャーにクレームをつけている最中に「ゆっくりと話してくれ」と情けないリクエストを出したこともある。
・最近ではGlob-ish グロービッシュが流行だ。要は大航海時代以来のpidgin English 簡易ビジネス英語がデジタル時代に適応したものだな。このレベルを自在に操ることのできるようにし、複雑な英文法を習得する代わりに専門分野の能力アップに時間をかけることにしよう。

今後、否、現在を生きてゆく上でのヒントも示される。
・リーダーシップを取る傾向のある人は、人生で必ずそれを反復する。「英語力」「IT」「ファイナンス」に関する力を備えた上での「リーダーシップ」が求められる。(p188)
・自分で稼ぐ力がなければ"野垂れ死に"という環境が今の日本には必要(p189)

この本、机上に置いておこう。

この国を出よ
著者:大前研一、柳井正、小学館・2010年10月発行
2012年3月17日読了

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