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2013年1月 2日 (水)

二つの世界大戦 木村靖二 [読書記]

20世紀最大の出来事といえる二つの世界大戦。その戦間期の様相を含めて"現代の30年戦争"と捉え、遠因と経緯、影響を著す。

・列強の支配する表層の平和、19世紀末からの長期経済成長
・政治指導部の手詰まり意識と無力感、将来構想の欠如
・将来への不安と対外強硬論の台頭
これらがThe Grear War を誘発する遠因となる。(p7,10)

・地域住民の自決権は"民族自決権"に昇華、あるいはすり替えられ、複数民族の共存・共同体の可能性は遠ざけられた(p39,46)。これには帝国支配への反動としての側面もあるだろう。だが民族的同質化の概念は、国民の囲い込みによる戦時運命共同体(p74)を形成し、第二次世界大戦に至って総力戦の攻撃対象に含まれようとは、1930年の段階で誰が予測し得ただろうか。

・チェンバレンの宥和政策(p57)は長らく非難の対象とされてきたが、インドに自治を仄めかしたこと(p24)、パレスチナ住民とディアスポラ・ユダヤ人に二枚舌外交を展開したことを含め、おそらく帝国維持の観点から、当時の国際状況下(p56)ではベストの選択であった、と英国支配層は信じているに違いない。

・電撃的な独ソ不可侵条約が英仏に与えた衝撃(p61)。その遠因が日ソ間のノモンハン"戦争"であり、ソ連は現実的な選択をしたことになる。ユーラシアの東と西で災いと思惑がリンクしたわけだが、後に及ぼした影響を冷静に俯瞰するならば、関東軍の冒した行為は限りなく罪深い。

特筆すべきは、帝国維持のための種々なりふり構わぬイギリスの振る舞いだ。これを"政策"と言い張る厚顔さが1947年まで続くことになるのか。否、その後遺症が、2013年のいまもパレスチナ・インド・パキスタン・アフガニスタン・キプロス住民の命を代償に続いていることを思うと、政治の非情さに嘆息せざるをえない。

世界史リブレット47
二つの世界大戦
著者:木村靖二、山川出版社・1996年9月発行
2013年1月2日読了

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