« イギリス近代史講義 川北稔 [読書記] | トップページ | 男ひとり旅の美学 2014年7月 パリとプラハ その8 »

2014年11月 2日 (日)

東京プリズン 赤坂真理 [読書記]

最終章『16歳、私の東京裁判』で第7章までの400頁分のエピソードが一気に収斂する。
「35年前の戦争に傷を負い、日本人に深い恨みを持つであろうアメリカ人」衆目の中、公開ディベートで「アメリカ人らしい」高校生と、指導教官と対峙する1981年の日本人留学生。

公開ディベートのテーマ。日本の天皇ヒロヒトには、第二次世界大戦の戦争責任がある。
不愉快、読む人によっては実に不愉快だろう。だが正鵠を得た力強い文章に迷いはなく、16歳のマリ・アカサカは、赤坂真理は断言するのだ。
「日本人とは何かを、私は、答えられない」(p454)

シャーマンの系譜でもあろう「あの人」が現われる描写も、あくまでも自然だ。そう、自然界の一部としての人間がこの作品に通底している。最初違和感があった世界観も、「東京裁判」のはじまる頃には自然と受け入れられる。赤坂真理の描写力!

最終弁論ふたたび。被告席に座るマリが昭和天皇その人の魂と一体となり、敵意むき出しのアメリカ人たちと対峙するは姿は圧倒的で、鳥肌が立つ。
キリスト教の敵。
「東京大空襲や原子爆弾投下は、ナチスのホロコーストと同次元だ」(p521)
そうか、ここまで踏み込んで議論するべきだったのだ。

著者の勇気に感服。
戦争で敗北した日本人が「日本人」としてあり続けるために、われわれは議論するべきなのだ。

東京プリズン
著者:赤坂真理、河出書房新社・2014年7月発行
2014年11月2日読了

Dscn2319


« イギリス近代史講義 川北稔 [読書記] | トップページ | 男ひとり旅の美学 2014年7月 パリとプラハ その8 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/134563/60583242

この記事へのトラックバック一覧です: 東京プリズン 赤坂真理 [読書記]:

« イギリス近代史講義 川北稔 [読書記] | トップページ | 男ひとり旅の美学 2014年7月 パリとプラハ その8 »

フォト

他のアカウント

おすすめ本

見て下さいね!

  • BMW Japan
    愛車の2001年式E46 320i Mスポーツは快調ですが、E90 3シリーズクーペも魅力的です! 335i、誰か買ってくれないかな~~
  • United Nations Peacekeeping
    現代のアメリカ帝国の一方的かつ傲慢な「強者の論理」がまかり通る世の中ですが、国連経済社会理事会はまだまだ機能しています。そしてPKOの理念もまた!
  • 『ル・モンド・ディプロマティーク』日本語・電子版
    日本に存在しないものの一つが「クオリティ・ペーパー」だ。この大陸欧州(コンチネンタル)の知性が、日本語で堪能できるのです! インターネッット様々ですね。
  • BBC NEWS | News Front Page
    英連邦の残滓は資産でもあります。日本のメディアにほとんど現れることのないアフリカ、南アジアの記事が豊富です。
無料ブログはココログ