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2016年11月20日 (日)

繊細な真実 ジョン・ル・カレ [読書記]

海峡を制するイギリス領ジブラルタルで決行されたある秘密作戦。突如参加を命じられた外務・英連邦省職員「ポール」は作戦の成功を聞かされ、栄誉を得て帰還する。作戦の存在そのものが国の秘密事項とされた。
一方、若いキャリア外交官トビーは、大臣を操り作戦を企画・主導したアメリカ民間軍事会社の影に気づき、職務規定に反しある行動に出る。
3年の後に作戦の真の結果と、それがもたらした悲劇を知らされた「彼」とトビーは、果敢に真実に近づこうとするが……。

・立ちはだかるは機密の壁。なによりグローバリゼーションのもたらした国民国家の変質、すなわち、国民よりも多国籍企業に奉仕する民主主義政府の姿は不気味ですらある。
・他人事ではない。2014年より施行された秘密保護法により、この日本においても外務・防衛に関する「繊細な真実」は分厚いカーテンの向こうに隔離され、「主権」を有するはずの国民から、知る権利は剥奪されたのだ。。。
・民主主義の敵。真山仁さんによる文庫版の解説は、グローバリゼーションと並ぶ、もう一つの内なる敵の存在に気付かせてくれた。

ラスト付近の、黙って涙を呑む「彼」の描写には、思わず涙した。
一個人が国家の巨大な壁に対峙するには勇気だけでは不足。高尚な正義を貫くためには、人生のすべてを闇の中へ投げ出す覚悟が必要ってことか。


A DELICATE TRUTH
繊細な真実
著者:John Le Carre、加賀山卓朗(訳)、早川書房・2016年9月発行
2016年11月19日読了

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