« 2016年7月 北海道・釧路と知床半島の旅 その3 [男ひとり旅の美学・番外編] | トップページ | 2016年8月 ポーランドの旅 その1 [男ひとり旅の美学] »

2016年12月 2日 (金)

八十日間世界一周 ジュール・ヴェルヌ [読書記]

30歳のフランス人、ジャン=パスパルトゥー氏は腰を抜かすほど驚いただろう。なにしろロンドンの屋敷に雇用された日の夜に、世界一周旅行に随伴するよう、それもいますぐ出発することを、新しい主人のフォッグ卿より告げられたのだから。
80日以内に世界を一周をして戻ってこられるか? フォッグ卿が仲間と賭けた金額は実に2万ポンド、現代の邦貨にして、なんと4億円を超える。

・文明の利器の象徴である蒸気船、蒸気鉄道に加え、インド帝国、新興国アメリカ、エキゾティズム漂うアジア、日本を題材に大いに冒険心をくすぐる場面が展開される。
・ボンベイ、ベレナス、カルカッタ。象の背に乗ってのインド亜大陸横断、寡婦の火刑にされるサティーの現場からのアウーダ夫人の救出劇、狂信的な坊主との対峙など、読みどころが多い。
・香港のアヘン窟の罠。パスパルトゥーの失敗。出航に間に合わない事態に遭遇しても「なぁに、ちょっとした事故です」(p189)とフォッグ卿の言ってのけるシーンは気に入った。
・大嵐を乗り越えて上海に着き、サン・フランシス汽船で横浜に立ち寄る一行。横浜ではパスパルトゥー扮する天狗のパフォーマンスが披露されるが、まだ日本は蛮国扱いなんだな(p231挿絵)。
・北米大陸の大横断。モルモン教、鉄道を横切る1万2千頭のバッファローの群、襲い掛かるインディアンとの死闘、雪中の捕虜救出劇を経て、ニューヨークへ。また大西洋汽船は出航した後だった。この危機を乗り越える手腕も、超人フォッグ卿の魅力の一つだ。
・電気時計(p27)、携帯用印刷機(p283)など、当時の意外な先進技術に驚かされたりもする。

賭けの結果はどうだったのか。勝負よりも、その過程で得たものにこそ、人は誇りを持つべきなのだ。
1873年の作品だが、現代でも十分に通用するダイナミックな冒険活劇の傑作。19世紀の欧州人を熱狂させたのも納得だ。

LE TOUR DU MONDE EN QUATRE-VINGTS JOURS
八十日間世界一周
著者:Jules Verne、田辺貞之助(訳)、東京創元社・1976年3月発行
2016年12月1日読了

Dscn9552

« 2016年7月 北海道・釧路と知床半島の旅 その3 [男ひとり旅の美学・番外編] | トップページ | 2016年8月 ポーランドの旅 その1 [男ひとり旅の美学] »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/134563/64573275

この記事へのトラックバック一覧です: 八十日間世界一周 ジュール・ヴェルヌ [読書記]:

« 2016年7月 北海道・釧路と知床半島の旅 その3 [男ひとり旅の美学・番外編] | トップページ | 2016年8月 ポーランドの旅 その1 [男ひとり旅の美学] »

フォト

他のアカウント

おすすめ本

見て下さいね!

  • BMW Japan
    愛車の2001年式E46 320i Mスポーツは快調ですが、E90 3シリーズクーペも魅力的です! 335i、誰か買ってくれないかな~~
  • United Nations Peacekeeping
    現代のアメリカ帝国の一方的かつ傲慢な「強者の論理」がまかり通る世の中ですが、国連経済社会理事会はまだまだ機能しています。そしてPKOの理念もまた!
  • 『ル・モンド・ディプロマティーク』日本語・電子版
    日本に存在しないものの一つが「クオリティ・ペーパー」だ。この大陸欧州(コンチネンタル)の知性が、日本語で堪能できるのです! インターネッット様々ですね。
  • BBC NEWS | News Front Page
    英連邦の残滓は資産でもあります。日本のメディアにほとんど現れることのないアフリカ、南アジアの記事が豊富です。
無料ブログはココログ