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2017年2月 2日 (木)

ハイカラ神戸幻視行 紀行編 夢の名残り 西秋生 [読書記]

神戸が最も輝いていた時代、すなわち大正から昭和初期にかけてのハイカラモダニズムを、文藝の端々から、絵画の片隅から、街を散策しながら、その夢の名残りを確かめる一冊。
明日にでも神戸を歩きたくなる。

・谷崎潤一郎、竹中郁、稲垣足穂、陳舜臣、庄野潤三、久坂葉子、江戸川乱歩、小松益善、横溝正史、妹尾河童、ラドヤード・キプリング。神戸に縁のある芸術家の作品、あるいは紀行文に現れる神戸らしさこそ、著者のいうハイカラモダニズムである。

・江戸末期に開港された旧居留地と山手(北野町・山本通)、異人さんの「発見」したレジャーの地、六甲山。スズラン燈の元町、船長文化の中山手、布引の滝を擁する「瀧道」であった頃の三ノ宮(p113)。芦屋を擁する阪神間から、あるいは須磨、明石まで。それぞれの地域で育まれた文化、特徴が見事に描かれる。

・1907年新築のオリエンタルホテル。客室数73、東洋初のエレベータを備え、キップリングが絶賛したグリル・レストランを擁する(p45)。その名残を夢想し、2010年旧居留地に開業の新しいオリンエタルホテルのレストランを試してみようかな。

・1927年に大丸が開業し、200基の鈴蘭燈が煌々と照らし出す元町の活気(p127)。「戦前の月の美しい夜、元居留地を散策」(p37)「楼上の一室から月夜の神戸港を望み」(p80)はいいな。

・兵庫大仏を擁する能福寺には、キップリングも訪れていたとある(p238)。

・西洋館の並ぶ中山手通りを、ほのかに照らす瓦斯燈。この界隈の住人が育んだ当時の豊かな文化生活の一片でも触れたいものだ(p157)。

・1935年になっても、旧居留地には500台もの人力車が営業していたのか。

・イナガキ・タルホの描くトア・ロードの異国情緒溢れる情景が見事だ(p82)。この視点をもって、ゆっくりと散策してみよう。

・「活動写真と探偵小説。大正末から昭和初期にかけてのそれは……おそろしくモダンでハイカラな、具体的な形を与えられた夢そのもの」の普及に貢献した江戸川乱歩と横溝正史の二人の軌跡(p243)も追ってみたい。

東京一極集中が問われて久しいが、神戸にはいまでも「戦前ハイカラ文化の香り」が残っている。地元民としてもっと歩いてみようと思う。


ハイカラ神戸幻視行 紀行編 夢の名残り
著者:西秋生、神戸新聞総合出版センター・2016年9月発行
2017年2月1日読了

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