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2017年3月12日 (日)

ミュシャ展 鑑賞記(国立新美術館)

「たどり着いたのは、故郷への思い」
ミュシャ晩年の壮大な『スラヴ叙事詩』20点全そろいのチェコ国外展示は世界初とのことで、神戸から東京まで出向いてきた。
(2017年3月11日)
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銀座に前泊して9時40分に国立新美術館に到着。チケット売り場は大行列(200人~)。前売り券を買っておいて正解だった。
コインロッカーにコートを預け、2階の特別展示室へ。すでに300人近い行列が……。
10時を待たずに開場してくれた。

・スラヴ叙事詩は、三つの部屋に展示される。最奥の部屋では、なんと写真撮影が可能だ。日本の美術館では珍しい試みだ。
・音声ガイド(520円)は必須。檀れいさんの優しくもハッキリした声はとても聴きやすかった。

■いきなりの巨大絵画に圧倒される!
これは第一作目の『原故郷のスラヴ民族』だ。背景に攻め寄せるは異民族、焼かれた村。手前の草叢に隠れておびえるは素朴な村人、すなわちスラヴのアダムとイブだ。その光る目の印象は強烈だ。おびえなのか、何かへの決意なのか、はたまた祈りなのか……。
天空には無数星々。空中に浮かぶ巨大なスラヴの神は、「平和」と「戦士」を従え、何を願うのか。

『スラヴ式典礼の導入』
スラヴ語での布教を認める布告を読み上げるローマ教皇の使節を迎えるモラヴィア国王。人間世界の典礼を天空から見守るは、天空に浮かぶ先代の国王とロシアとブルガリアの皇帝たち。
まるで舞台を彷彿させる構図。手前の逆光で活写された青年の力強さ!彼の右手に握る輪は「団結こそ力である」を意味するそうだ。

『フス派の王、ボジェブラディとクンシュタートのイジー』
場所は華麗なプラハ王宮。中央の豪奢な赤い法服・ローマ教皇の使節が30年前の協定を破棄し、スラヴに服従を迫る。議会によって民主的に選出されたボヘミア王イジーが椅子を蹴り倒し、ローマに公然と対峙する構図。
民主政v.s.神政の決定的な瞬間をとらえた、個人的にベストの一枚。

『イヴァンチツェの兄妹団学校』はミュシャの夢見た理想郷。手前左の盲目の老人に聖書を読み上げる青年こそ、若き日のミュシャ。画家の想いが存分に現れた一枚だ。
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『スラヴィ民族の讃歌』
クライマックス。
米国旗の目立つのは、チェコ独立を支援してくれたアメリカ人への御愛嬌か。
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展示室はこんな感じ。
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■パリ時代の傑作は永遠だ。
三つの大部屋を過ぎると一転、アール・ヌーヴォー全盛期の華やかなパリ時代のミュシャ作品が現われる。

四つの花『カーネーション』『ユリ』『バラ』『アイリス』、四芸術『詩』『ダンス』『絵画』『音楽』に続き、サラ・ベルナールのポスター5点。『ハムレット』こそ傑作だと思う。ウミロフ・ミラーも面白い。このコーナーは堺市のものだ。

■世紀末の司祭
1900年パリ万博。ベル・エポックの最盛期の祭典で、ミュシャは故郷ボヘミアをイメージしつつ、オーストリア=ハンガリー帝国政府の要請による作品を提供する。ここでは、ボスニア・ヘルツェゴヴィア館とオーストリア館の装飾の一端が垣間見られる。

意想外の収穫は、プラハ市民会館のイメージスケッチと下絵だ。歴史上の偉人を描いた絵画は構図・描写・背景ともどもミュシャらしさに溢れ、どれも一見の価値がある。個人的には『闘う魂-ヤン・ジェシカ』『警護-ホットの人々』が気に入った。

他に
■独立のための闘い
■習作と出版物
のコーナーがあり、チェコ独立後の作品、ミュシャデザインによるチェコ切手・紙幣の現物が展示されていた。


こうして画家の一生を通じての作品を目にする機会はあまりないだけに、大きな感動を得られた展示であった。2時間なんてあっという間。
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■ポール・ボキュール・ミュゼ
リヨン郊外の本店は敷居が高すぎて断念したが、国立新美術館3階のはブラッスリーということで、入ってみた。
10人待ち。一人客もいたので安心した。
ランチとチェコワイン(グラスワイン)は美味。見た目も良し。
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今度は誰かと、また来よう。

芸術に触れるのは小さな非日常。空間とともに楽しむのが吉だな。

ミュシャ展
2017年6月5日まで開催
国立新美術館
http://www.mucha2017.jp/

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