2009年8月30日 (日)

アフガニスタン大統領選挙 その先にある国家の分裂?

サンデーモーニングでアフガニスタン大統領選挙が取り上げられていた。(2009年8月30日) 現職のハーミド・カルザイ氏が得票率41%、対抗馬のアブドゥッラー(アブドラ)氏は39%。大規模かつ組織的な不正が次々と報告される中、決選投票が行われる見通しだ。

問題は何か?
番組によると、カルザイ氏はパシュトゥーン人で国の南部が支持基盤。対するアブドゥラ氏はタジク人で、母体政党は統一国民戦線=旧北部同盟だから、北部が基盤だ。

伊勢崎賢治氏=昨日読んだ「自衛隊の国際貢献は憲法九条で」の著者が出演していた。彼によると、
「最悪、国家が南北に分断される可能性もある」
いっそ、そっちの方がうまくいくのでは? パシュトゥーン側は、パキスタンに併合されたりして。

で、アブドゥラ氏は2002年の暫定政権時の外務大臣。と言うことは、旧軍閥とつながりがある? 悪名高い腐敗の源? カルザイ政権そのものも腐敗が糾弾されているし。

表面的な統一国家を保つか、分裂するのか。どっちに転んでも、腐敗した極貧国家のままか。アメリカが出て行き、他の先進国も手を引き、残るは発展途上国ならぬ「絶望途上国」。世界が見捨てるであろう破綻国家寸前の石油の出ないこの国に日本が介入し、公平な民主国家に仕立て直すのか?
もしかして、ババを引かされる?

【ウイークリーワールド】不正と暴力に悩まされたアフガン大統領選 3日に暫定結果
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090829-00000539-san-int

<アフガン大統領選>米が第2回投票を要請 カルザイ氏激怒
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090828-00000118-mai-int

そうそう、日本では今日、衆議院選挙か。こっちは"絶望先進国"だが、投票権だけ行使しておこう。

日英凋落 戦略描けず影響力喪失
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090829-00000039-san-int

2009年5月 7日 (木)

シアチェン - 氷河の戦闘 ヒマラヤ国際映画祭 WEST JAPAN 2009

ふたたび神戸映画資料館へ出向いたゾ。(2009年5月5日)
シアチェン - 氷河の戦闘(Siachen : A War for ice)を観賞した。2006年のスイス作品だ。

1947年のインドとパキスタンの分離独立。その時点で国境が確定しなかった地域があった。ヒマラヤ山脈の西に位置し、一年中氷河に覆われた6000メートル級の山々。カシミールの北東に位置するシアチェンだ。
(「シア」は薔薇のこと。シアチェンの地名はここから。)

[観光と軍事が並立する地]
パキスタン側の平地から上がるとアスコン峡谷に至る。車で行けるのはここまで。車道も無くなる。ここからは徒歩かラバのみ。
軍がヘリを飛ばせるのは好天のみ。悪天でも行けるラバで灯油を山頂の基地へ運ぶのは、民間業者だ。
氷河ではラバも転ぶし、死にもする。ラバ一頭は1,000ドル。

アジア最高峰のK2を擁するこの一帯は、観光と軍事の重要拠点が併存する。
急峻な山、雪崩、谷底へ崩れ落ちる雪原。ダイナミックな映像だった。
7,000m級の山々がそびえ立つ。軍事行動は好天のみ。

その山脈の向こう側は、インド軍の拠点となる。
こちらも最重要物質、石油をこちらはトラックで運ぶ。ヘリも併存。
一部には石油のパイプライン。液漏れ、環境破壊。

[バルトロ氷河で暮らす]
パキスタン軍の最前線、バルトロ Baltoro氷河。ここから隊列を組み、パトロールに出る。交代要員4名とガイド担当が2名の隊列だ。雪原を歩き、歩く。高度5,700メートルで、季節は6月。足下はぬかるみ、時に下半身が雪と泥の中へ沈む。
体力の消耗は激しく、陸軍の精鋭といえども、3分で先頭を交代させる。
ニット帽とサングラスは必携だ。雪焼けでさらに顔が黒くなる。

高度6,000メートルにある哨戒基地に到達。テントではなく、シェルターだ。交代要員はこれから1ヶ月間をここで過ごす。ここを拠点に、さらにパトロールを行い、この中でコーランを読み、礼拝を行い、生活するのだ。
指揮官は語る。最大の敵は天候だ。この地での任務は、もはや技量や体力の問題ではなく、士気の問題だ。
「気合いを入れろ、野郎ども!」
「おおっ!」(と僕には聞こえた。)

雪原に突如、現れたのは、なんと鉄条網だ! こんな辺境の地でも「境界線」は重要なのか。
ロープで全員の体をくくり、脱落者に備える。
で、なぜ、彼らはこんな過酷な環境に身をさらすのか?

[対峙のはじまり]
NJ9842と呼ばれるポイントの北側はインド、パキスタンとも暗黙の了解のもと、境界の未策定地域としてきた。1970年、パキスタン側が境界の設定を通告し、西側を制圧。これに反する形でインド軍も部隊を派遣した。当時のインド軍派遣部隊指揮官は語る。
「偵察を目的に少数の部隊で乗り込んだ。パキスタン側は大規模な部隊を展開しており、ここでわれわれが引くと、シアチェン全域が制圧されてしまう。わたしは越冬を決意した」
これが現在まで続く、両軍の対峙の始まりとなった。以降、20年間、全面戦争に発展しないよう配慮しつつ、これまでに4,000人もの戦死者を出してきた。

Googleマップで確認したら、この地域に国境線は引かれていない。曖昧なままでも衝突を回避できるなら、まだマシというもの。

[意味のある対立なのか?]
両軍とも、地元の理解を得るために苦心しているようだ。パキスタンのカイラット中尉は語る。バルチ族の村に学校と病院を建設し、運営している。さらに自軍の兵士にも気を遣い、わざわざ電話回線まで確保したという。「家族との通話が精神衛生上、不可欠であり、士気の維持にも繋がる」 そう、士気が大切なのだ。インド軍指揮官も士気の重要性を語った。

そのインド軍はどうしているか。シアチェンのすぐ南側は、欧米人と日本人が訪れる観光地、ラダックだ。その中心地、レー Lehには、10万人の一般市民と10万人の軍人が暮らしている。市民一人あたり、兵士一人。こんな地域はここだけだろう。
で、ラダックの地元民は、軍需品の輸送、飲食店の経営等、軍の活動に頼っているのが現実だ。「戦争は必要悪。カネになる」とインタビューで答えたのは、若い地元民だ。

そのレーからラダックの北へ抜けると、山頂のインド軍前線基地がある。総員600名もの兵士を擁するという。夏でも全方位、雪景色。ピッケルとスパイク。こちらも全員の体をロープでつなぎ、氷上を歩く。

高山病にかかる兵士。凍傷に苦しむ兵士。前線基地の軍医は大忙しだ。

1999年に勃発したカルギル戦争Kargil War の背景がわかった。
カルギル周辺を制圧すれば、インド側の補給線は極端に制限され、シアチェンの占有が確実となる、か。

それにしても、この睨み合いを維持するために必要な年間予算は、実に1,000万ドル!(2004年の実績)
自国民を満足に食べさせることもできない国家としては、多大な損失だろうに。
政治は何をしているのか?

[環境へのインパクト]
制作サイドは、これを強く訴えていた。20年間の対峙で対流したゴミ。毎日1万トンものゴミが出る(? 誇張しすぎ? 翻訳ミス?) で、キチンと平地まで持ち帰っているのか? 否! 軍はなんと、雪の下に隠すのだ! 飲み物の空缶、小銃の空薬莢はかわいいほうで、燃料のドラム缶や、撃墜されたヘリコプターまでも。
で、漏れた燃料はどこへ向かうのか? 氷河にしみこみ、汚染するだけなのか?
南アジアの母なるインダス川。その水源がシアチェン氷河であることは、何を意味するのか……?

「ヒマラヤ国際映画祭 WEST JAPAN 2009」の公式HP。
http://himalaya2009.jakou.com/index.html

「シアチェン - 氷河の戦闘」の公式HP。
http://www.siachen.ch/front_content.php

2009年5月 6日 (水)

安らぎはいずこに?/カシミール問題 ヒマラヤ国際映画祭 WEST JAPAN 2009

JR新長田駅南側にポスターが掲示されていた。内容がわからず素通りしていたが、実に興味深い内容であることを5月2日の神戸新聞で知った。チベット問題を中心に、ブータン、ネパール、インドなど、ヒマラヤを囲む地域の文化・政治・人権等多岐にわたる映画が上映されるそうな。中でも、ある作品が目を惹いた。

その「安らぎはいずこに?」は、カシミール地域の問題を取り上げている。Amazonで探したが、日本語版は無い。米国版DVDはリージョン1だし、英語じゃダメだ。
GWは業務都合で休日出勤なのだが、本作品の上映される夕方だけ、都合を付けて観賞に出向いた。(2009年5月3日)

[カシミール問題]
前々から欧米、特に旧宗主国である英国で大きく採り上げられるも、冷戦時代はインドの背後にソ連邦が、パキスタンには米国が付き、結局は無難な「現状維持」が続けられた。
(当時のパキスタン軍部への支援とアフガニスタン・イスラム義勇兵への肩入れが、後々に米国へ災いをもたらしたことは周知の通り。)

時代は変わり、インドは無視できない存在となった。ハイデラーバードを中心とするIT産業、インド人の数学、英語スキルの高さ、なにより膨大な人口と市場を擁する無限の可能性だ。

一方のパキスタンは弱体化した。繰り返される軍事クーデター、根付かない文民政治、現ザルダリ政権に代表される政府ぐるみの腐敗。内戦・国家崩壊の可能性すら出てきた。
ニューズウィーク日本版2009年5月6日・13日合併号では、特にパキスタン軍部の害毒があからさまに書かれている。

で、3000年の昔からそこに住む民衆の思いは無視されてきた。
カシミール Kashmir のインド占領地区では、特に1990年代前半に、反インド闘争が盛り上がりを見せた。パレスチナの地になぞらえ、カシミールのインティファーダと呼ばれることもある。
独立運動だけではない。ムスリム住民としての正統な権利を要求するだけで、留置場行きだ。

[安らぎはいずこに?]
正式作品名は「Jashn-e-azadhi : How We Celebrate Freedom」、2007年にインドで制作された。

フィルムはクプワラ Kupwara の地からはじまる。うら寂しい墓地で、老父がインド兵に殺された息子の墓標を探す。
「かなり昔のことだ」
それは1992年、反インド、独立運動が最高潮に達した時期のこと。
「息子はムジャヒディンだった」
彼は反インドのムスリム戦士。インド政府は「テロリスト」と呼ぶ。

ラル・チョーク。ここはインド・カシミール州の州都スリナガル(シュリナガル)の中心街だ。ニューヨークのタイムズ・スクエアをイメージしてもらえればわかりやすい。その豊かさは比較にもならないが。
60回目のインド独立記念日にあたる2007年8月15日、ここで祝祭行事が催された。
中央広場の時計台は巨大なインド国旗にくるまれ、居並ぶインド軍高級将校たちが演説をする。放たれる白い鳩、鳩。平和の象徴だ。ミニチュア国旗が配布されると、子供たちが群がる。
だが、大人たちは出てこない。閑散とした大通り。これこそ、カシミール住民の意思の表れだ。何故か?

[アザディ! アザディ!]
集会で連呼されるアザディ azadi は"自由"を意味する。
いまは平穏なスリナガルも、1993年は暴動に荒れていた。当時のニュース映像が流れる。
ハズラートバル・モスクには大勢のデモ参加者。
「インドは出て行け!」アザディ! 「インドは出て行け!」アザディ!
ダル湖畔にあるこの美しい白塗りのモスクは、僕が訪問した2007年7月には閑散としており、ただ子供たちの遊ぶ声だけが印象に残ったのだが……。

インド軍治安部隊と反インド武装勢力の抗争。前者はムスリム軽視のヒンドゥー教徒。後者は、カシミール独立運動の主流だった地元勢力に代わり、アフガニスタンから流れた外国人の"ならず者たち"。両者の狭間で苦しむのが、地元の民衆だ。

カメラは北部カシミールの村、テキプラ TEKIPULA、バンディポラ Bandipola、南部カシミールの村シュピアン Supianの住民の不安を追う。

家が放火される。軍は消火には協力せず、武装勢力を追うのみ。焼け出された数十人は途方に暮れる。
普通の農民が突然逮捕され、拷問され、命を奪われて家族の元に帰ってくる。「誤りだった」とわずかなカネで賠償される。

虐げられてきた涙は枯れることはない
そして怒りは蓄積される。

武装組織の協力者だった夫を殺され、弟も殺された女性は、畑仕事を捨て、小銃を手にする。インド側から見れば「テロリスト」になったのであり、殺すのに理由は無い。

それでも、すべての住民が反インドではない。イスラム武装勢力のリーダーの演説が始まる。「10万人もの犠牲者を出した。世界は見ているはずだ。インド軍は出て行け」
集会への参加者は多いが、独立支持に署名したのは村の全人口の9%に留まる……。

[懐柔]
ある村で貧しい住民にラジオを配るのは、インド治安部隊だ。
クプワラ村 Kupwara では、軍が学校を建て、寡婦を対象に職業訓練所(旧式のミシンだが)を運営する。

スリナガルのムスカン Muskaan 基地内には、学校を兼ねた孤児院が設営されている。祭の日、親を亡くした少年少女が「○○大佐、将校のみなさん、ありがとう」と舞踊を披露する。軍の当事者にとっては微笑ましい光景であるだろう。だが、周囲の虐げられてきたムスリムは、そうは思わないのだろう。

イクワニ ikhwani 。元はアラビア語の「兄弟」の意味。転じて「武装抵抗組織から足を洗い、軍の協力者と成った者」を指す言葉に。カシミールでは「裏切り者」の意味で呼ばれ、民衆から蔑まれる。

[カシミールは誰のもの?]
カシミールの地には、一般市民15人に一人の割合でインド兵が駐留していると言う。これには納得した。2007年7月にスリナガル Srinagar、ソープル Sopure、等を旅行したが、軍人だらけだった。はしゃいで遊ぶ子供の横に、小銃を持った兵士がうようよと。異様な光景に映ったが、準戦時下の国だ、とそのときは思った。
(ソーナマルグ Sonamarg はのどかだったが。)

スリナガル Srinagar の西にグルマルグ Gulmarg と言う村がある。ここでインド人は冬にはスキー、夏にはゴルフを楽しめる。仲間と最高のひとときを送るヒンドゥー教徒の観光客がカメラに語る。
「カシミールはインド人のものだ」
これが本音だろう。

中共に不法占領されたチベットと同じ。
世界がどう言おうと、インドはカシミールを手放さない。パキスタンも支配地域を手放さ
ない。カシミ-ル人の独立なんてもってのほか。

支配は勝利を意味しないが、現状維持ができればそれで良いのだ。

こうやって衝突と流血は繰り返される。これからもウォッチを続けよう。

ヒマラヤ国際映画祭 WEST JAPAN 2009の公式HP。
http://himalaya2009.jakou.com/index.html

[余談。でも重要]
WEBをみると「Jashn-A Azadi」や「Jashn-e-Azadi」が存在する。YouTubeのフィルムからすると「Jashn-e-Azadi」が正解のようだ。

Jashn-e-Azadi documentary film
http://www.youtube.com/watch?v=bSnVVlX0ZNU

公式HPがあったぞ!
Jashn-e-Azadi
http://kashmirfilm.wordpress.com/

2008年3月31日 (月)

永田町時代劇 ビートたけしのTVタックル

大混乱!春の陣!ストップ血税ムダ遣い 国民の怒り!!3時間SP
(テレビ朝日のHPから引用します。)
今夜は年度末恒例のタックル3時間スペシャルで、初登場のやんちゃな姫、姫井由美子議員を始め総勢17名の豪華ゲストが出演。第1部で福田総理と困った仲間達の秘蔵ハプニング映像をお蔵出しする他、たけしが下町の工場や商店街を突撃取材、格差社会に鋭く斬り込みます!
他方、「止まらない学力低下」「食の安全と消費者庁」「官僚天下り」「防衛省問題」など、福田内閣の頭痛のタネに関して激論が展開。学力による階層社会がすぐそこに!?消費者庁の実現で新たな利権が!?日銀総裁は一体誰になればみんな納得!?
そしてお待ちかね「痛快永田町時代劇」では、平沢、大村、原口の各議員に加え姫井議員も迫真の演技で、永田町時代劇史上最高の出来映えとの呼び声も。絶対見逃せません!!
http://www.tv-asahi.co.jp/tvtackle/

いつもより1時間早く帰宅して、夕食がてらTVタックルを見ていたら……
やってくれました! 「永田町時代劇」
国会答弁やインタビューでの失言やオモシロ発言を、そのまま時代劇に取り入れ、かつ、各政治家のポジションをわかりやすく示す辺りが、真骨頂ですね。
でも、麻生太郎氏の特徴は……少しひどいなぁ。

しかし、道路に限らず、特定財源はひどいなぁ。これじゃ公務員は遊んで暮らせるわけだ。

いまの時代、生放送を見逃しても、すぐにYouTubeにUPされる。便利な世の中になったもんだ!
(21:21現在、まだuploadされていない。ニコニコ動画にもなかった。)

2008年3月30日 (日)

チベット占領の最終段階? 反乱は失敗に終わり、漢民族との一体化が加速するチベット

ラサで新たな大規模デモ=「数千人参加」-チベット亡命政府
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080330-00000006-jij-int
「インド北部ダラムサラに拠点を置くチベット亡命政府は29日、中国チベット自治区ラサで現地時間同日午後2時ごろ、数千人規模のデモが発生したと発表した。14日の暴動が中国当局に鎮圧されて以来、ラサでの大規模デモが伝えられたのは初めて。
 亡命政府のウェブサイトに掲載された声明によると、デモはラサ中心部にあるラモチェ寺前のほか、近くのジョカン寺(大昭寺)前などでも行われ、数千人が参加した。中国当局は装甲車両や戦車を投入してデモを強制的に阻止したという」

1989年の暴動はラサのみ。今回は周辺の省に拡がり、衰える気配を見せない。89年と違うのは、ネットと携帯を駆使し、ダライ・ラマの穏健路線に従わない「行動派」が主導権を握る点だ。
携帯カメラで撮影した「警察による僧侶への暴行」記録動画が瞬時に米国のチベット支援団体のアドレスに送信され、すぐに世界中に公開される。
公開されないのは、当局が閲覧を制限する中華人民共和国内だけ。

オリンピック開催を前に予想されていたとはいえ、当局も手を焼いている様子。
しかし、片っ端から連行して拷問にかけ、組織を根絶やしにするんだろうなぁ。
国外組織の支援にも限界があるだろうし。
文化大革命じゃないけど、今回の活動が下火になり、オリンピックが終わって世界中の関心が低くなれば、本格的に「チベット民族に対する教育」が行われるんだろうなぁ。
他力本願みたいで気が引けるが、次のアメリカ大統領はどう中国に対峙するのだろう。自国の経済危機を救うため、宥和政策を進めるのだろうか。そうなれば、チベット自治区のチベット人は、湾岸戦争後のイラク・クルド族みたいに見捨てられるのは確実。
哀れ。合掌。

2008年3月24日 (月)

警察官は法を犯しても、すぐには逮捕されないのか? 自衛官もしかり

地図ソフトを勝手にネット公開 兵庫の警官書類送検へ
http://www.kobe-np.co.jp/knews/0000888273.shtml

兵庫県警の現職男性警官が、住宅地図大手ゼンリン(北九州市)の地図ソフトをインターネット上で勝手に無料公開していたとして、福岡県警は24日、著作権法違反の疑いで、この警官を同日中に書類送検する方針を固めた。
ほかに男1人も同じ容疑で書類送検する。
警官らは、ファイル交換ソフト「ウィニー」を使えば不特定多数がソフトを閲覧したりダウンロードしたりできる状態にしていた。福岡県警は「悪質な著作権侵害行為」とみている。
関係者によると、警官は30代の巡査。兵庫県警の捜査2課などに在籍した。以前ゼンリンの地図ソフトを購入し使用していたが、使用期限が切れ、ウィニーを使ってソフトを無料入手した後、誰もが自由にダウンロードできる状態にしたとみられている。
福岡県警はゼンリンから相談を受け、捜査を開始。コンピューターの通信履歴を分析して警官の住所を割り出し、今月上旬に自宅を家宅捜索していた。

書類送検ってなんだ?
広辞苑第五版(古い)によると……
「司法警察員から検察官に捜査書類および証拠物のみを送付すること」
つまり、身柄はフリー、ってこと?
警察官が、別の所轄の警察官を捜査するんだから、遠慮しがち?
自組織の恥は、なるべく穏便に済ませるのか?
それとも、美しき礼儀ってヤツですか?
これが民間人なら容赦なく逮捕なんだろうな。

海上自衛隊「あたご」の所業を思い出したぞ。報道が下火になり、よくわからん「処分」で一件落着にされた(もはや過去形)事件だ。
国民を護るはずの自衛隊が、自らの職務怠慢により、罪のない民間人(漁船の親子)を殺害した、例の事件だ。(マスコミは事故と呼ぶが、これは事件でしょう!)

交通事故を起こすと代用監獄に監禁され、そのうち刑務所に招待されるのが常だ。
それが、眠たかったからなのか、それとも面倒くさかったからなのかはしらんが、前方不注意で国民を殺害しておきながら、誰も刑事告発されないのは何故なのか?
処分の内容は? 「減給数ヶ月」って何の冗談だ???

それとも、僕が勘違いしているのだろうか?
こんな声が聞こえてきそうだ……。
「自衛隊は国民を護るのではない。"国"を護る組織である。
 彼らは自衛隊=防衛省=国を護ったのだかから、よくやった。なんら問題ない。
 うるさい国民どもへの対応? とりあえず、綱紀粛正とでも言っておけ!」

2008年3月18日 (火)

チベット暴動、中国共産党の暴政への反発

ラサの暴動で、中国政府はチベット人の強制逮捕に乗り出した。その規模、数百人。
現地で何が起こっているのか? 知りたい。知りたいが、外国メディアの入域が禁止されている? それじゃぁ中共政府"大本営発表"を鵜呑みにするしかないのか?

19時のNHKのTVニュースを観た。現地から引き上げた日本人旅行客の一団が列を成して帰ってきた。で、報道陣のマイクに向けられた言葉は……
「何も話すなと言われている」
耳を疑ったぞ。
誰に命令されたんだ? 旅行会社か? 中国政府にか?
まさか、在上海日本国総領事館じゃないだろうね?(これが最も可能性が高いなぁ。)

彼らは、ラサへ何をしに行ったんだ?
チベット文化を、その地で暮らす人々を、その風習を観に行ったんだろう?
チベット密教(チベット仏教)とポタラ宮を目にして、異文化と人類に通底する共通項を感じたのではなかったのか?
あるいは、現地の人々とのふれあいの中から「何か」を見つけ、自分に投影する。それも目的の一つだろう?

その地で、文化が破壊され、「中国化」され、大げさに言えば民族浄化されつつあるラサの現状を目にして、憤慨するものがあったはず。
暴動に直面するのは怖い。被害が及ぶ前に、自分たちの安全を確保することに賢明なのも、当然だろう。
でも、その状況が生じたのは何故か、知っているはず。
現地の情勢、一次情報を知っているのは、自分たちであることも知っているはず。
それが、「何も話すな」と言われたから、口を閉ざすのか?
報道陣のマイクには言えないこともあるか……ブログに期待しよう。
(たぶん、旅行者名簿を入手した中国軍に監視されると思うけれど。)

中国政府、米ユーチューブを遮断=チベット暴動映像を警戒か
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200803/2008031800616&rel=y&g=int

「報道の自由」って言葉は、彼の国に無いことを思い出した。
そのうちオリンピックも「外国メディアの報道禁止」となり、中国人選手のメダル独占、世界新記録大連発、ってことに。(笑)
茶番劇。

[補記]
状況をキチンと書いてくれる方もおられますね。大変でしたね……。
http://plaza.rakuten.co.jp/kaycom/diary/200803170000/

2007年11月18日 (日)

審判

肥大化する公務員組織は、必要のない仕事をひねり出しては、自己存在の正当性を主張する。いつの時代、どの国でも見られる光景だ。だが、それが市民に害を及ぼすとしたら……。

カフカの三大長編の一つ、審判を久しぶりに読んだ。
高層アパートに住む銀行員、ヨーゼフ・K。若干30歳ながら、類い希な才覚によって支店長の要職にのし上がった彼は、ある朝突然、寝室で逮捕される。
身に覚えのないところで起訴されているという。奇妙なことに、身柄を拘束されるわけでなく、これまで通りの生活に支障も無く、月に1~2回の公判への出頭のみが命ぜられた。
最初の日曜日、9時に裁判所を訪ねたKは、そこが高層住宅の一部であり、裁判所職員の一住居を間借りした臨時の法廷であることを知る。
驚愕は続く。裁判官と下級判事専属の肖像画描き、画家にまとわりつく幼い姉妹、おびただしい数の事務員、彼らすべてが裁判所の関係者だという。さらに、弁護士と裁判所職員のもたれあい、クライアントであるはずの被告人を奴隷のように扱う弁護士、何年待っても進展しない、気まぐれな裁判システム……。
Kは最初は突き放す。やがて一族がかかわり、職場でも周知の事実となり、肉体的、精神的に裁判に深く巻き込まれてゆく。
相変わらずの怠慢な裁判は続く。だが気まぐれか、必然か。その「仕事が完遂」されるため、ちょうど1年後の同じ日に、ヨーゼフ・Kは処刑されねばならなかった。

身近に突然起こる恐怖の光景。ある意味、全体主義のこれは、ドイツ的、あるいは、ゲルマン気質と呼べなくもないだろう。

自己増殖する官僚機構に制動をかけ、適正な姿に戻すのは政治家の責務であり、ひいては為政者を選択する国民・市民の義務でもある。
公務員は必要だろう。だが、公的機関としての役割が低下したのなら、その組織も縮小すればよい。公的組織の必要性を強調するのなら、非営利団体NPOが十分、その役目を果たすだろう。

どこの自治体も、膨大な赤字財政を放置・先送りし、破綻直前になってやっと「行革」らしきものを立ち上げる。兵庫県もそうだ。
今朝(2007年11月18日)の神戸新聞によると、兵庫県「県職員文化祭」なるイベントが、神戸国際会館を借り切って開催されたそうな。
これは兵庫県庁の職員と家族、OBだけが参加できるイベントだ。主催は職員互助会らしいが、その予算1,200万円の半分、実に600万円もの税金が投入されたという。残る600万円は県からの補助らしいが、それも我々の税金だろうが。
賃料もバカにならない「こくさいホール」では、職員によるダンスやバンド演奏が披露されたという。(まさか、仕事そっちのけで練習してたんじゃないだろうね?)
一般の県民にはサービス低下、各種補助金削減という痛みを強いておいて、バカ高い報酬を得る自分たちだけで、ノホホンとお祭りを愉しむのだ。その「まるで特権階級のサロンを思わせる」閉鎖的なお祭りに、われわれの血税が惜しみなく投入されるのだ!

なになに? 「中止も検討されたが、やむを得ず開催した」だって? 楽しみにしている職員が多く忍びない? 1年かけて準備してきたサークルの努力を無駄にしないため? そんなん、知るか!
う~ん。現代日本もある意味、カフカ的世界だなぁ……。

Der Process
審判(カフカ小説全集2)
著者:フランツ・カフカ、池内紀、白水社・2001年1月発行
2007年11月11日読了

2007年11月 4日 (日)

ムシャラフ大統領のパキスタンで、戒厳令

AFPニュース等によると、11月3日、パキスタンのパルヴェーズ・ムシャラフ(Pervez Musharraf)大統領=陸軍参謀長が全土に非常事態を宣言したそうだ。憲法は効力を停止し、非常事態宣言を差し止めた最高裁のチョードリー長官は解任され、大統領の息のかかった新長官が任命されたそうだ。

http://www.afpbb.com/article/politics/2306636/2309890
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071104-00000040-san-int

1999年10月のクーデターで実権を把握したとき、彼は腐敗政権に嫌気をさしていた国民の支持を得た。これは「内政問題」として仕方がないのだろう。だが、前年にインドとパキスタンがともに核兵器の保有を宣言した直後でもあり、「核兵器を有するイスラム軍事政権の誕生」により、世界は緊迫度を増した。(当時のニューズウィーク日本版1999年10月27日号の表紙「核の危機 アメリカ議会は核実験禁止条約を拒否し、核保有国パキスタンでクーデター」の大きな見出しは鮮烈だった。)
結局、強硬な制裁は行われず、なだめて現状を維持する政策を主要国は選んだ。

その後の「9.11」では、米国とイスラム諸国の板挟みに遭いながらも、国益を優先して対テロ戦への参加を表明し、唯々諾々と軍事作戦を遂行することで、米国から事実上の承認を得た。これが、ムシャラフ氏の地位の盤石化に作用したのだろう。

だが、公約であったはずの「陸軍参謀長の辞職」は実現していない。最高裁長官の罷免騒動、選挙へのあからさまな介入、ライバル政治家の帰国問題が次々と持ち上がり、軍部の強硬派とイスラム原理主義者との確執も解決していない。
支持を得ていた国民の間では、毎月のようにデモが繰り広げられている。
先日の大統領選挙の結果、ムシャラフ氏は3期目の就任を果たした。だが、これは暫定的なものであり、参謀長を兼任したままの大統領就任の憲法上の判断が下される最高裁判決が、目前に迫る。無論、良い結果は期待できず、国政は一挙に混乱に陥るだろう。

そこで、今回の戒厳令だ。反大統領派の最高裁長官の解任が目的とも言えるこの変事を、いったいどう収拾するのだろうか。
そしてパキスタン国民は思うだろう。
「そこまでして地位にしがみつきたいのか?」

それでも、ムシャラフ氏のパキスタンは興味深い。軍事クーデター後のイスラム国家で強権政治の発動となれば、反欧米、イスラム原理主義へ傾倒しそうなものだが、実際には現実的な国際協調路線を貫いてきた。
なぜだろうか。
イスラム教徒が大半を占める国にありながら、ムシャラフ氏はキリスト教系の高校、大学を卒業した。さらに父親は外交官、母親は国際労働機関(ILO)の職員であったことを鑑みれば、国際感覚が十二分に養われたことは、想像に難くない。
ライバル政治家の支持者を中心とする反体制派への弾圧を除けば、経済改革を推し進めるなど、内政も比較的リベラルだ。これも、これまで国民の緩やかな支持を集め続けた要因だったのだろう。

ブット元首相との確執もさることながら、ナワーズ・シャリーフ前首相とのいがみあいもまだまだ続く。アフガニスタンとの国境沿い、事実上の無政府状態が続く北西辺境州でのアルカイダ系テロリストの暗躍に手を焼く状態が続くようなら、米国が黙っちゃいない。
英国(ブット氏亡命先)とそのメディア、エジプト(シャリーフ氏亡命先)はじめ中東諸国、対テロ戦争の"同盟国"であるブッシュ米国の思惑を含め、三つ巴の様相は、その先が見えてこない。

クーデターの原因として、カルギル紛争を巡り、インドとの対話で収拾させようとするシャリフ首相と、あくまで軍事作戦で片を付けたいムシャラフ参謀長の間の確執があったとされる。
そうであれば、だ。今回の危機が長引いて国民の批難が高じれば、「国民の目を外部に向け、内政の失敗をカバーする」との定石に則り、カシミール地帯の紛争を再燃させる可能性も否定できない。
当面はホットな状況が南アジアで続きそうだ。

http://news.bbc.co.uk/2/hi/south_asia/472997.stm
http://www.presidentofpakistan.gov.pk/

英国BBCニュース
http://news.bbc.co.uk/2/hi/south_asia/7077310.stm

こっちはアルジャジーラ・ニュース
http://english.aljazeera.net/NR/exeres/CE10D815-2B86-4AF4-8D76-D1C74AB114AD.htm

で、これが国民に向けて戒厳令を発令するムシャラフ氏
http://www.youtube.com/watch?v=ya86zLFxHrs

2007年9月 2日 (日)

帝国

2007年9月時点において、国連加盟国は192を数える。そのうち150ヶ国以上が、二〇世紀中葉まで存在した帝国の支配下にあった。前世紀の残滓を払拭した現在でさえ、グローバル経済体制に従属しているのが実態だ。
帝国、そして帝国主義。それは突如、消えたのか。否、姿形を変えて存続しているのか?
本書は、有史以来の歴史を俯瞰し、現代まで連綿と続く東西の帝国の意味を概観する。

帝国主義。それは他国民を従属させ、収奪する行為であるがゆえに、必ずしも好意的にはとらえられない。それが現代日本人の感覚であり、おそらく世界共通の認識なのだろう。だが19世紀後半の帝国主義の時代は「植民者こそが英雄」であり、原住民を文明化する使命を担う正しき行為とされていた。大日本帝国もまたしかり。朝鮮半島、中国大陸、東南アジア諸国へ侵攻するのに、これ以上の大義名分はなかった。しかし、1930年代になると欧米で帝国主義への疑問が生じ、日本だけが時代の後追いを続けていたことは悲劇でもあったが。

遠くローマの時代から、帝国の中枢に位置する者にとって「野蛮人を文明化すること」は自分たちに課せられた使命だと信じる傾向があった。それは宗教、特にキリスト教とイスラム教の使命感と混淆したためである。(だから、同様の帝国である古代中国には、周縁国家に対する文明化の意図は生じなかったのだろう。)
しかし、支配される側にとっては、帝国主義は収奪そのものである。
「人住まぬ荒野をつくって、それを平和と呼ぶ」
我々が信奉する基本的人権、民主主義の概念、そして国際法。これらでさえ"帝国の遺産"であり、西洋の価値観の押しつけだとする論調すら見受けられる。

現在、帝国と呼べるのはアメリカだけとされる。直接的な植民地政策を行使しないものの、地域の支配体制を通じて経済と外交、ときには文化を間接支配し、利益が驚かされるときには軍事的手段を用いて「あるべき姿」に矯正する。その意味では、新しい世界帝国とも言える。
長期的にはどうなるのか? 伝統的なヨーロッパ文化と異なる、より民衆的なアメリカの価値観が普遍化し、一方で各国・地域の伝統文化・人生観と混じり合い、かつてのローマ帝国とも異なる「緩やかに統合された世界」が大きな趨勢になるのだろうか。

2007年10月からTV放映が始まる「機動戦士ガンダム00(ダブルオー)」が、上に述べた世界観に近いようだ。このアニメの舞台、すなわち石油資源の枯渇した西暦2300年の世界は、アメリカを中心とした陣営(日本も参加)、中国・ロシア・インドを中心とした陣営、アフリカを支配下に置く欧州連合の3極が太陽エネルギーを奪い合い、中東・東南アジア・アフリカの貧困国からなる「見捨てられた世界」はテロに専従するという、ありうるリアル未来図を予想させてくれる。(日本がアングロサクソンに占領されて全てを奪われる、コードギアスの世界観よりは救われる。)

……脱線が長すぎた。
個人的には、近代の典型的な陸上型帝国である、オーストリア=ハンガリー帝国の姿が印象に残った。多民族にして民主的な帝国を建設するという、どう考えても無理がある政策を実践し、ある程度まで成功させた(当時は大英帝国もフランスも、少しでも民主的権利を植民地に与えてはいなかった)。その画期的かつ穏和な方針が、かえって民族闘争に拍車をかけ、帝国の解体を加速させたのは皮肉だったと言える。

EMPIRE : A Very Short Introduction
帝国
著者:スティーブン・ハウ、見市雅俊(訳)、岩波書店・2003年12月発行
2007年8月29日読了

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